<span>宮崎吾朗が本音で語った60分 クリエイターとしての「現在地」と「魔女の谷の夜」で6年ぶり監督復帰の理由</span>
宮崎吾朗氏(スタジオジブリ屋上にて)

ドキュメンタリー|カルチャー

宮崎吾朗が本音で語った60分 クリエイターとしての「現在地」と「魔女の谷の夜」で6年ぶり監督復帰の理由

2026年6月13日

7月8日から、スタジオジブリの新作短編アニメーション「魔女の谷の夜」が愛知県のジブリパークで上映される。これは宮崎吾朗氏と、これまで「千と千尋の神隠し」の原画などを手掛けてきた山下明彦氏による共同監督作品。宮崎氏にとっては「アーヤと魔女」(2020年)以来、6年ぶりの監督作になる。この機会に、ジブリパークの制作全体を指揮し、スタジオジブリの常務取締役でもある宮崎氏が、今何を考えて、これから何をするつもりなのか。その心境も含めて伺った。(構成・金澤誠、文中敬称略)

「映像」をジブリパークの新たなアトラクションに

 これまでスタジオジブリでは、東京の三鷹の森ジブリ美術館(以下、ジブリ美術館)で上映する短編アニメーションを10本制作してきた。だが「魔女の谷の夜」は、ジブリパーク(愛知県長久手市)のみで上映される初の短編。この作品が制作されるに至った経緯を宮崎吾朗に聞くところから、話を始めていこう。

「2022年に開園したジブリパークには、ジブリ美術館にある『土星座』のように、映画を上映できる『映像展示室オリヲン座』を作ったんです。そこで何を上映するのかとなった時に、ひとまずはジブリ美術館のために作られた短編をかけていました。でもそれらはジブリ美術館のために作ったものですし、やはりジブリ美術館で観てもらいたいなあという気持ちが、どこかにありました。ですからジブリパークのための作品が欲しいと思ったことが、動機の一つにあります。またジブリパークが開園したときに、アトラクションがないと、周りから随分言われたんですね。アトラクションと言っても体験型のライド的なものを作るのは、物理的にも金銭的にもなかなか難しい。スタジオジブリは映像の会社ですから、やはり映像そのものがアトラクションになるのではないかと思いました。そういう視点で、ジブリパーク用の短編作品を作ったらいいのではないかと思い始めたんです」

 ジブリ美術館の短編作品は、宮﨑駿監督が主導して作ってきた。対してジブリパークの短編は宮崎吾朗がメインになって、企画が動いていった。

「宮﨑駿は『俺はやらない。もう、アニメーションに興味がない』と言っていますからね。本当は僕もやりたくないんですが、誰もやってくれないですから(笑)。作品作りを誰かに頼むにしても企画案が必要ですから、僕の方でいくつか案を考えて、実際に作品を作ってくれる人を探していったんです」

 そこで監督候補に挙がったのが、山下明彦。宮﨑駿監督作品は「千と千尋の神隠し」(2001年)の原画に始まり、「ハウルの動く城」(2004年)の作画監督、「崖の上のポニョ」(2008年)の作画監督補、「風立ちぬ」(2013年)と「君たちはどう生きるか」(2023年)では原画を担当。宮崎吾朗監督の「ゲド戦記」(2006年)に作画演出、「コクリコ坂から」(2011年)には作画監督として参加した彼は、21世紀のスタジオジブリ作品に欠かせない、メインスタッフの一人である。

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