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冷たさのなかの熱い情熱ーー矛盾した魅力を抱えた「ジョディ・フォスター」の“戦い”という履歴

2026年7月25日


<span>冷たさのなかの熱い情熱ーー矛盾した魅力を抱えた「ジョディ・フォスター」の“戦い”という履歴</span>
 ©LES FILMS VELVET -BUENOS HAIR -FRANCE 3 CINEMA

今回は ジョディ・フォスターの新作にフォーカスする。初のフランス映画主演作となり、監督自身もコメディと語る新作で演じる「多くの矛盾を抱える人」とは? 彼女のこれまでのキャリアを辿ると、小柄な体で戦い、冷徹さの中に情熱を隠し持つ、そんな不思議な魅力が浮き上がる。

「戦う女」としてのジョディ・フォスター


 ジョディ・フォスターという名前を聞いて、人はどの年代の、どんな作品を思い浮かべるだろう。13歳で出演した『タクシードライバー』(マーティン・スコセッシ監督、1976年)、アカデミー賞主演女優賞を受賞した『告発の行方』(ジョナサン・カプラン監督、1988年)、今も伝説的な映画でありつづける『羊たちの沈黙』(ジョナサン・デミ監督、1991年)、思いがけぬラストに驚かされたSF映画『コンタクト』(ロバート・ゼメキス監督、1997 年)……数えきれないほどのタイトルが浮かぶが、私がその名前を意識し始めたのは、というよりジョディ・フォスターという俳優が大好きでたまらなくなったのは2000年代に入ってから、2002年製作の『パニック・ルーム』(デヴィッド・フィンチャー監督) がきっかけだった。

 この映画でフォスターは、幼い娘と新居に越してきたシングルマザー役を演じ、突然の侵入者たちに怯えながら、部屋に備え付けられたシェルターに籠城し決死のバトルを繰り広げる。いわゆるパニック映画だが、狭い密室に閉じこもった側が悪役を翻弄する様が斬新だった。続いて彼女が主演したのは2005年製作の『フライトプラン』(ロベルト・シュヴェンケ監督)。フォスターは再び一人娘を抱えた母親となり、飛行機の中での娘の失踪というありえない事態を前に、航空機の設計士という職業を活かし上空での大活劇を繰り広げる。

 そして2007年、フォスターが主演兼製作総指揮を務めた『ブレイブ ワン』(ニール・ジョーダン監督)は、今も私の偏愛映画だ。暴漢に襲われ殺された恋人の仇をとるため、拳銃片手に犯人たちを追うラジオDJを演じた彼女は、孤独で気高い戦士そのものだった。

 振り返ってみると、私が惹かれたのは、「戦う女」としてのジョディ・フォスターのようだ。彼女はいつも、暴力や陰謀とは無縁の世界で生きてきたのに、突然何らかの事件に巻き込まれ、愛する者のためにたったひとりで戦わざるを得なくなった女性を演じてきた。孤独で、絶望に沈んでいて、それでも彼女はいつも前を向き戦うことを選ぶ。この当時のフォスターはちょうど40代になった頃。私生活でも母親になったことが伝えられ、そのために演じるうえでの母親役が増えてきたのかもしれない。


小柄な体格で男たちと渡り合う

『エイリアン』シリーズのシガニー・ウィーバーや、『ターミネーター』シリーズのリンダ・ハミルトンのような俳優たちに比べ、ジョディ・フォスターの肉体は小柄かつ華奢で、必ずしもアクションには向いていない。どちらかといえば脆弱さを感じさせ、私たちを驚かせるような派手なアクションや銃撃戦をこなすわけでもない。

 それでも、彼女は屈強な男たちと対等に渡り合う。『羊たちの沈黙』でフォスターが演じたクラリス捜査官はまさにそういう人物だった。FBIで同期の男性たちに比べ大人と子供に見えるほどに小さく頼りない彼女は、男性社会のなかで一見か弱い存在として登場する。しかし彼女は、その肉体ではなく明晰な頭脳によって捜査を主導し物語を牽引していく。

 2000年代に主演した数々のアクション映画でも、フォスターは筋肉を誇示し、力でもって悪漢たちを薙ぎ倒していくのではなく、いつも落ち着いて物事を見つめ、戦い方を見定める。同時に、その冷静さを失うほどの怒りが原動力にもなる。彼女が怒りに燃え汚い言葉で罵る姿ほど最高の瞬間はない。2024年に製作されたミステリードラマ『トゥルー・ディテクティブ ナイト・カントリー』で演じた警察署長役も素晴らしかった。切れ者の署長は非常に短気なうえ、街の男たちと次々に不倫をし相棒に呆れられるなど、妙に人間くさい面を見せてくれる。

 人より体格が小さく、冷たさのなかに熱い情熱を隠しもつ女性。そうした俳優としての自分の特性を、フォスターは客観的に見つめられる人なのだろう。子役時代から現在まで数々の名作に出演し続け、また監督としても良作を発表している。1991年、『リトルマン・テイト』で監督デビューを果たした彼女は、1995年に『ホーム・フォー・ザ・ホリデイ』、2011年に『それでも、愛してる』、2016年に『マネーモンスター』を監督。テレビドラマシリーズでも、『ハウス・オブ・カード 野望の階段』や『ブラック・ミラー』で監督を担当している。


多くの矛盾を抱えた人だからこそ

 ©LES FILMS VELVET -BUENOS HAIR -FRANCE 3 CINEMA


 最新主演作『プライベート・ケース』には、小柄な体できびきびとパリの街を駆け回るジョディ・フォスターの姿が余すところなく映されていて、見た瞬間に、レベッカ・ズロトヴスキ監督も俳優ジョディ・フォスターの大ファンなのだと直感した。初のフランス映画主演作だが、幼い頃からロサンゼルスにあるフランス人学校に通いバカロレアも取得しているフォスターは、フランス人俳優たちと共演し見事なフランス語を披露している。

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