この夏の外務省人事は、駐中国大使、駐ロシア大使、国連大使など在外大物大使の交代が焦点になる。5月20日に北京で行われた中露首脳会談の共同声明は、日本の軍備増強や歴史認識問題で反日攻勢を強めており、中露に駐在する次期大使には「中露離間」の意識が必要になる。
「金杉大使は実力不足」の声
現在の日中関係は、昨年11月の高市早苗首相の「存立危機事態」発言に中国が激怒し、最悪の状況にある。日本の中国専門家の間では、「チャイナスクールではない金杉憲治駐中国大使(1983年入省)は実力不足で荷が重い」との見方が多い。
昨年は抗日戦勝80周年に当たり、9月に北京の天安門広場で盛大な戦勝記念軍事パレードが行われた。習近平政権が戦勝・愛国ムードを極度に高めた直後に日本の首相が台湾有事に言及すれば、日中関係が悪化するのは目に見えていた。
「大使館員が普段から中国要人と接触し、本音で話していれば、台湾有事発言が危険なことくらいすぐに分かる。北京の日本大使館には日本人が100人近くもいながら、何をしていたのか。外務省が官邸への出向者を通じて総理に現地情勢を正確に伝えていなかったことは怠慢だ」(在北京の日本商社マン)
中国語ができない金杉大使では、中国要人とコミュニケーションが取れないとの見立てだ。大使に法令上の定年はないが、運用上は65歳で退任するのが通例だ。66歳の金杉大使はこの夏交代するようだ。後任は石川浩司駐シンガポール大使(86年入省)と植野篤志駐カンボジア大使(87年入省)のチャイナスクール同士の争いとなる。