「上昇婚」の概念が結婚のハードルを上げる
韓国統計庁によるデータを見ると、日本や中国と同様に若者の結婚離れ、出生数の低下が問題になっています。韓国の場合、朝鮮戦争終結後の1955~74年頃の比較的長い期間にベビーブームが起こり、その後半に生まれたベビーブーム世代の子どもたちが、30歳前後の結婚適齢期を迎えているため、2年連続で出生率に改善が見られました。韓国の出生率は2023年に0.72となって世界最低を記録しましたが、2024年は0.75、25年は0.80にまで上昇しています。とはいえ、1以下で低迷していることに変わりはありません。出生率低下が長年叫ばれている日本も2024年は1.15。2025年はさらなる低下が見込まれていますが、それでも1は上回っており、韓国の出生率低迷はこれとは次元が異なります。
韓国には「上昇婚」という言葉がありますが、韓国の女性は自分より学歴が高いとか、資産が多い、収入が多い男性と結婚しようとする傾向が強いのです。ところが今や、韓国では女性の大学進学率の方が男性を上回っています。自分より学歴が高い男性と結婚したがるのに、もはや女性の大学進学率の方が上回ってしまい、結婚のハードルがどんどん上がっているのです。これは出生率が低下する一つの要因だと言われています。
結婚する男性に「家」を用意するハードル
韓国では結婚した際に男性が家を用意し、女性が生活用品を用意するという文化があり、昔から結婚の条件に「家」が含まれています。昔ほどではないものの、韓国では女性やその家族の中に「家も用意できない男とは結婚させられない」と考える人が多いのです。
ところがソウル市内のマンションの平均価格は2025年12月時点で約1億5750万円にまで高騰し、男性にとっては大きな負担となっています。韓国で家を借りる場合、日本の「家賃」とは異なり、マンション価格の5~6割を保証金として大家に預ける「チョンセ」という独特な制度があります。その代わり毎月の家賃は発生せずに、契約期間が終わり退出する際に預けたお金は戻ってくるのですが、同じ物件で再契約する場合、保証金の金額は上がるのが一般的。かつては銀行の金利が10%近かったため、大家は保証金を銀行に預けて利子を得ていましたが、銀行の金利が下がってきていることから、稼ぎを確保するため、最近は保証金の金額をマンション価格の7~8割まで上げているそうです。
1億円のマンションを借りようとすると、チョンセが5~6割でも入居時に5000万~6000万円の保証金が必要になるということですから、若者にはとても自分一人で準備できません。このため結婚する際には親や親族からお金を借りて、新居を準備することになります。こうした事情もあり、韓国の結婚費用は平均3400万円もかかり、その大半は家を準備するための費用となっています。
もちろんお金がないという理由から、一人で暮らしていたアパートに結婚後も住み続けるカップルもいますが、親の立場からすると「そういう男性とはできれば結婚してほしくない」「娘を苦労させたくない」という思いが強いのです。韓国で結婚する場合、女性の家族の発言力が非常に強く、男性は選ばれる側で肩身が狭い。仮に結婚できても男性は自分の親より義理の親を喜ばせようと偏る傾向があるような気がします。当然ながら、韓国の男性にとって結婚は大きなハードルになっており、外国人女性と結婚した方が金銭的な負担が軽く済む、と考える人もいるでしょうから、外国人女性と結婚する韓国人男性が増えているのです。日本人女性はベトナム人、中国人、タイ人に続いて4番目に韓国人男性と結婚する人が多い外国人なのです。