国際

テクノロジーの進歩をどこまで肯定できるのか 「J・D・ヴァンス」を支える「ニューライト」対立の火種

2026年7月6日


<span>テクノロジーの進歩をどこまで肯定できるのか 「J・D・ヴァンス」を支える「ニューライト」対立の火種</span>

ハンガリーで政権交代が起きていることは報じられているが、その影響でアメリカの右派論客のひとりが当地を離れ、アメリカへと帰国していたことは日本ではそれほど知られていない。ポスト・トランプへの注目が高まる中で、政権にも強く影響を及ぼしている「ニューライト」(新右翼)内部で今後何が起き得るのか。ローマ教皇がその影響について提起した「AI」を立脚点に、広がりつつある「歪み」を『アメリカの新右翼』(新潮選書)の著者が解き明かす。

J・D・ヴァンス副大統領と関係の深いロッド・ドレアに訪れた変化


 5月末から6月初めにかけて、ポストリベラルの代表的人物であり『リベラリズムはなぜ失敗したのか』の著者であるノートルダム大学教授のパトリック・デニーンが来日した。日本記者クラブでの講演をはじめ、テレビ取材も入るなど、ポスト・トランプの呼び声も高いJ・D・ヴァンス副大統領と親交があるデニーンへの注目は、異例と言えるほど高かった。

 リベラルが推進してきたリベラリズムであれ、保守が擁護してきた古典的自由主義であれ、左右どちらの立場も、文化や伝統を蔑ろにし、競争や能力主義を正当化してきたというのが、デニーンのスタンスである。なにが善いかは各自がそれぞれ追求すべきというのがリベラルの立場だが、それとは対照的に、「共通善」という目標に導かれたエリートが民衆とともに社会をつくっていくことを、カトリックであるデニーンは構想する。自己責任の掛け声のもと、市場経済や小さな政府を重視してきた従来のアメリカの共和党系インテリ層とも一線を画す主張である。

 デニーンをはじめとするポストリベラル、そしてイーロン・マスクやピーター・ティールに代表されるテック右派を含め、ドナルド・トランプ大統領の周囲に結集している反リベラルの人びとは、まとめて「ニューライト」と呼ばれる。いまや、ニューライトはアメリカ政治を左右するだけでなく、日本を含めた他国にまで影響を与える存在になっており、とくにヨーロッパの反リベラル勢力と関係を結び、環大西洋的ネットワークを構築してきた。なかでもオルバン・ヴィクトル前首相がトップだったときのハンガリーは、かれらニューライトにとって理想的な国づくりが進められてきた場所であり、オルバンのほうもまた、かれらを歓待し、厚遇もしてきた。

おすすめの記事

すべて見る
戻るボタン 次へボタン

おすすめの動画

すべて見る
戻るボタン 次へボタン

ニュースレターを購読する

新潮QUEは、「問う力」を養っていくためのサブスクリプションサービスです。

無料登録する