カルチャー

【特別企画】視覚の差別主義にどう対抗するか|ジョージ・フロイド殺害映像とアメリカの映像文化|第2回

2021年7月25日


<span>【特別企画】視覚の差別主義にどう対抗するか|ジョージ・フロイド殺害映像とアメリカの映像文化|第2回</span>

白人警官の暴力によって、黒人男性が目の前で息絶える――。通行人が撮影した1本の動画が、昨年世界中で「BLM」運動を再燃させた。だが、黒人への暴力が映像という形で可視化されるようになったのは、決して最近のことではない。今から半世紀近くも前、マーティン・ルーサー・キング牧師はむしろ積極的に映像を利用し、黒人の権利を訴えていたのである。

*第1回はこちら

3. 黒人への暴力の「ドラマ化」——公民権運動の「演出家」としてのキング牧師

 奴隷解放宣言の発布から100年目にあたる1963年8月28日のワシントン大行進は、アメリカの黒人による公民権運動最大のメディア・イヴェントであったが、文字どおり「世界中が現に目撃」したといっても過言ではないこの日のキングの演説「私には夢がある」の冒頭には、大行進の意義を「ドラマ化」という言葉を用いて明確に述べている次のような一節がある。

 

[奴隷解放宣言から]100年経った今、黒人は依然として自由ではありません。100年経った今、黒人の生活は依然として人種隔離の手枷と人種差別の足枷によって悲しくも不自由な状態にあります。[中略]100年経った今、黒人は依然としてアメリカ社会の片隅での暮らしを強いられ、自分の国にいながらまるで亡命者のようになっています。それゆえ私たちは今日ここにこの恥ずべき状況をドラマ化するためにやってきたのです。[1]……

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