カルチャー

連載小説:裂けた明日 第19回

2021年9月4日

内戦により、分断された日本。相次ぐ震災と原発事故、そして例の病気の蔓延で、国民の生活は壊滅的な影響を受けていた。家族を亡くし一人暮らす男の元へ、逃亡者が現れる――。<作家の眼が、現実を鋭く照射する。近未来の分断日本を描く、スリリングなSF長篇>

大宮の民泊で束の間の休息をとり、また移動を始めた信也と真智母娘。共同統治区域へ入る手立てと追っ手の存在が信也を悩ませる。

[承前]

 信也たちは、西武新宿線の東村山駅でいったん下りた。

 真智の仲間たちの手配を封鎖線の外で待つには、そのあとの移動もしやすいターミナル駅とか、それに準じる場所にいるべきだった。信也が考えているのは、JR中央線の吉祥寺駅だ。お昼前に吉祥寺に着いていれば、あとでどんな移動を指示されようと、対処はしやすい。たとえもう一度荒川の東に行くことになるにせよ、川崎方面への移動を指示されることになろうともだ。これが西武新宿線の上井草とか上石神井の駅にいたのでは、かなり不便になる。……

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