カルチャー

連載小説:裂けた明日 第26回

2021年10月23日

内戦により、分断された日本。相次ぐ震災と原発事故、そして例の病気の蔓延で、国民の生活は壊滅的な影響を受けていた。家族を亡くし一人暮らす男の元へ、逃亡者が現れる――。<作家の眼が、現実を鋭く照射する。近未来の分断日本を描く、スリリングなSF長篇>

無事に封鎖線を越え、宿泊場所のテント村で入場の手続きを済ませた三人。施設の案内は、少し意外なものだった。

[承前]

 戦前の労働条件が、世界水準からかけ離れていたのだ。いまは国民融和政府の支配地域では、どの企業でも、どこの作業現場でも、待遇はこのようなものなのではないか。

 信也は言った。……

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