政治

より自律的に、地政学的に目覚める欧州(2022年3・4月-3)

2022年5月2日

独外交政策協会(DGAP)は、ウクライナ戦争が欧州の安全保障秩序の転換点となると論じている。EUの「戦略的自律」志向、ドイツの安全保障フリーライド、エネルギーのロシア依存など、様々な課題が地政学的な観点から捉え直されるのは確実だ。そしていずれにせよ、新たな欧州はかつての米ソ対立の舞台という位置づけ以上に、大きな役割を担うことになるだろう。(こちらの第2部から続きます)

5.ヨーロッパの役割の拡大

■ヨーロッパの「地政学的な覚醒」を左右するドイツ

 ウクライナ戦争によって、ヨーロッパの安全保障秩序も巨大な影響を受けることになる。具体的にどのような変化が見られるようになるのだろうか。

   ドイツのシンクタンク、独外交政策協会(DGAP)の複数の研究員によりまとめられた論考では、今回のウクライナ戦争が欧州安全保障秩序の「転換点」になり、巨大な地殻変動をもたらすと論じる[DGAP Policy Brief, “Zeitenwende für Europas Sicherheitsordnung(欧州の安全保障秩序の転換点)”, DGAP, April 7, 2022]。その場合にこれからヨーロッパがロシアに対して、「対立」、「共存」、「協力」という3つの選択肢が考えられると論じる。

   他方で、今後のヨーロッパの安全保障政策を考える上で、「強いヨーロッパ」を前提に考えていかなければならなくなるだろう。またそれを実現するためには、アメリカ、カナダ、日本、オーストラリアなど、民主主義や自由、法の支配というような価値を共有するパートナーが不可欠となる。欧州の安全保障秩序や、ドイツの安全保障政策が本当に「転換」していくのかどうかは、今後数年間でどの程度、ヨーロッパが自己決定権を確立できるかによる、と論じる。

   ジャーマン・マーシャル基金のフェローであるアレクサンドラ・デ・ホープスケファーゲシーヌ・ウェバーの2人は、「平和プロジェクト」としてのEUの将来像にとって、今回のウクライナ戦争が「地政学的な覚醒」の契機になるとして、以下のように論じている[Alexandra de Hoop Scheffer and Gesine Weber, “Russia’s War on Ukraine: the EU’s Geopolitical Awakening(ロシアの対ウクライナ戦争―EUの地政学的覚醒)”, The German Marshall Fund of the United States, March 8, 2022]。……

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