政治

変容するロシア・ウクライナ戦争の構図――NATO諸国からの武器供与を引き出す戦い

2022年8月29日

これまでの戦争の長期化は、ウクライナによる敗北・降伏の回避を意味した。ただし今後、戦争の長期膠着化を避けるには、NATO諸国が武器供与を拡大し、ウクライナがロシア軍を追い返すために必要な武器を迅速に供与することが必要だ。榴弾砲やHIMARSといった火力に加え、戦車や戦闘機なども必要になる。秋から冬にかけエネルギー不足が避けられぬ中、そこまで踏み込むことが可能なのか。ボールは米国を中心としたNATO側にある。

 2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵略の開始から、半年が経った。戦争はまだ続いている。戦争の長期化は多くの犠牲を生む。しかし、戦争が短期で終了したとすれば、どのような戦争になっていたのだろうか。ウクライナが短期決戦で勝利した可能性は――そもそも侵略を始めたのがロシア側だったという意味で論理上も、そしてロシア優位の兵力差を考えれば現実問題としても――存在していなかった。つまり短期戦だとしたらロシアの勝利が不可避だった。ウクライナが勝利する、ないし少なくとも負けないためには、少しでも長く抵抗する、つまり長期戦に持ち込むほかなかったのである。この理解が全ての出発点になる。

   この半年間、ウクライナは短期戦で早期の敗北・降伏に追い込まれるのを防ぎ、長期戦化をはかるなかで、ロシア軍の撃退と、独立した主権国家としてのウクライナの存続を目指してきた。ぎりぎりの選択だった。ただし、ロシアとの国力の相違を踏まえれば、ウクライナが戦争を継続するには、他国からの武器供与が不可欠であった。

   ロシアという敵に立ち向かうとともに、米国をはじめとするNATO(北大西洋条約機構)諸国からの武器供与の確保が、ウクライナにとっては重要な戦いだったのである。そしてこの問題をめぐる構図は、開戦前、戦争初期、そしてその後と変遷してきた。ウクライナはいかにしてNATO諸国の支援を引き出し、そのためには何が必要だったのだろうか。順にみていこう。

ウクライナの抗戦力に対するNATO諸国の懐疑的見方

 米国英国を筆頭とするNATO諸国によるウクライナ軍への支援は、ロシアによる侵略以前に始まっていた。しかし、2014年のロシアによるクリミアの一方的併合以降のそれら諸国によるウクライナ軍への支援は、兵員の訓練が中心で、武器の供与は長らく非殺傷兵器にほぼ限定されていた。基本的にはロシアを刺激しないという配慮である。このことは、NATO拡大の脅威を強調するプーチン政権の主張とは裏腹に、同国のNATO加盟プロセスに全く進展がなかった事実とも付合する。NATO側として、ウクライナの安全保障にコミットするような状況にはなっていなかったのである。……

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