新型コロナウイルス感染症とロシア・ウクライナ戦争で、世界経済の先行きにかつてない暗雲が漂っている。そのなかで、各国政府、中央銀行と共に岐路に立たされているのが国際機関である。本稿では国際機関のうち経済分野で最も影響力の大きいIMF(国際通貨基金)についてこれまでの歩みを振り返り、今後を展望する。
コロナと戦争はサプライチェーンを混乱させ、物価高などを通じて新興国・途上国を中心に流動性の危機をもたらした。政府債務がデフォルト(債務不履行)寸前だったパキスタン(パキスタンはこれに洪水も加わった)、経済悪化への抗議活動が激化するなか大統領が出国してしまったバングラディシュ、あるいはまさに戦争そのものによる打撃を受けているウクライナなど、今年に入ってからでもIMFの金融支援によって辛うじて破綻を逃れた国家が相次いでいる。
世界190カ国が加盟し、6200億ドル(約88兆円)の資金基盤を持つ「最後の貸手(レンダー・オブ・ラスト・リゾート)」は今、「ドルの基軸通貨」に代わる国際金融システムの大転換もその視界に収めながら未来への岐路に立っている。
ブレトンウッズ体制の終焉で問われた存在意義
The IMF is at its best when the world economy is at its worst. We are an institution that steps up at the time of a crisis.(世界経済が最悪の時期がIMFにとって最高の時期だ。IMFは危機によって成長する)。……