政治

ブラジル三権襲撃事件を引き起こした政治的分極化と陰謀論

2023年1月26日


<span>ブラジル三権襲撃事件を引き起こした政治的分極化と陰謀論</span>

ブラジルのボルソナーロ前大統領の急進的な支援者が大統領府、連邦議会、最高裁判所を襲撃した。事件はなぜ起き、何をもたらすのか。米国の議会襲撃事件との違いを踏まえながら、SNS上で見られた前兆、背景にある政治的分極化と陰謀論、今後も続くと予想されるボルソナーロとルーラの戦いについて解説する。

 

 ブラジルの首都ブラジリアで2023年1月8日、ジャイール・ボルソナーロ前大統領が敗れた昨年の大統領選に「不正があった」と訴えるデモ参加者ら約4000人の一部が暴徒化し、大統領府、連邦議会、最高裁判所に侵入した。今回の事件は2021年1月に米国でトランプ支持者の一部が起こした連邦議会の襲撃事件を彷彿とさせるものだったこともあり、世界中に波紋を呼んだ。しかし、今回の事件を米国の状況やトランプ氏との共通点のみに基づいて解釈することは誤解を招いてしまう。本稿ではひとまず、事件の背景と経緯、事件の影響と今後を整理する。

事件当日に何が起きたのか

 当日に至る経緯を簡単に振りかえっておきたい。

 事件が発生する前日の7日に抗議デモ参加者を乗せた少なくとも80台のバスが、ブラジリアの陸軍総司令部の前に設営された野営地に到着した。野営地では、選挙結果を否定する市民たちが選挙是正のために軍の介入を求め、繰り返しデモを行っていた。……

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