あまりにあっけない幕切れだった。中国のプロテニス選手彭帥さん(37)が2021年11月に、張高麗・元副首相(76)に性的関係を強要されたと告白した後に一時消息不明になった件だ。彭さんの無事の確認と徹底した調査を求めて中国での大会開催を見合わせていた世界女子テニス協会(WTA)が今年4月、中国での大会開催を9月から再開させると発表したのだ。もちろん調査などは行われておらず、世界の耳目を引いた中国とWTA(とそれを支持した人々)との1年4カ月にわたる駆け引きは、中国側の完全勝利で終わった。
WTAは4月13日の声明で「状況は変わる兆しがなく、(徹底調査など)私たちは目標を完全に達成することはできないと判断した」とあっさりと白旗を揚げた。彭さんとは直接連絡をとれていないと認める一方で、彭さんが北京で家族と安全に暮らしていることを確認したと強調した。日本での各メディアの扱いはかなり小さかったため、気づかなかった読者も少なくないだろう。
「中国政府にとって大きな勝利」
WTAのスティーブ・サイモン最高経営責任者(CEO)は決定の背景に経済的な動機があったことを隠さない。英BBCの取材に、決定は商業的な現実によって強制されたものではないが、中国からの引き上げによって「多くの犠牲を払った」と認める。さらに「再開を支持しない選手もいたが、大部分の選手は戻るべきときだと話した」と明かす。……