アメリカのスポーツ指導者は、選手に暴力を振るえば即、逮捕され、二度と指導の現場に復帰できない。その半面、手腕が評価されればキャリアアップにつながり、プロフェッショナルとして莫大な収入を得ることもできる。翻って日本の場合、大半の少年スポーツや部活動はボランティアコーチに依存しており、“善意”で自分の時間を犠牲にしている指導者に対し、子供や保護者が異を唱えにくい構造的な問題がある。
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現在30歳の谷豪紀が件の少年と出会ったのは、谷が3年生に進級したばかり、少年が桜宮高校に入学した直後のことだ。
「大阪府下で、無茶苦茶上手い子だと中学時代から有名でした。身長は172~173センチくらいでしたが、手足が長くて、ドリブルなんて目を見張るものがありました。ポジションは私と同じポイントガードです。技術があることを鼻にかけることもなく、謙虚な男でした。厳しい練習でめげそうになる同級生を励ましたりする姿も目にしました。1年生が試合に出ることは滅多に無いので、片付けがメインの作業になったりします。でも、率先して1年生の仕事をやっていました。その頃、私はもう干されていましたが、クロスドリブルの練習をやっていたら、『谷さん、それ教えてください』なんて聞きにきたこともあります。試合に出ていない3年生を見下すようなこともなく、人間としても出来ているなと感じていました。……