鎖国下の江戸時代、日本独自の数学文化「和算」が華ひらく。天才和算家・関孝和のベルヌーイ数発見のような、世界にさきがけた業績がなぜ生み出されたのか。『江戸の天才数学者:世界を驚かせた和算家たち』(鳴海風著/新潮選書)から一部を抜粋・再編集して江戸流イノベーションの謎に迫る。
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渋川春海の誕生
渋川春海は、寛永16年(1639)閏11月3日、初代安井算哲(さんてつ)の長男として、京都四条室町松原の屋敷で生まれた。幼名は六蔵という。父が50歳のときの子だった。
安井家の先祖は清和源氏の畠山氏に発し、満安が河内国渋川郡を領したことから渋川姓を名乗り、その孫の光重が播磨国安井郷を領してからは安井を名乗っていた。……