浮世絵の題材としても人気の高かったスサノヲ(月岡芳年『日本略史 素戔嗚尊』)
どうしても、スサノヲを書きたかった。古代史のなぞを探りつづけて、多くの秘密をスサノヲが背負っていることに、ようやく気づいたからだ。
スサノヲは正統な神だからこそ邪魔になった?
神話の主役といえば、誰もがアマテラス(天照大神)を思い浮かべるだろう。伊勢内宮[ないくう](三重県伊勢市)に祀られる女性の太陽神だ。記紀神話の構成も、天皇家のもっとも大切な祖神の一柱に、アマテラスを据えている。
しかし、日本神話の中で、スサノヲは異彩を放っている。イザナキから生まれた三貴子(天照大神、月読尊、素戔嗚尊)の内の一柱だから、というわけではない。スサノヲは「もっとも神らしい神」なのだ。
スサノヲは天上界(高天原)で暴れ回り、追放された。ところが地上界に舞い下りると、八岐大蛇[やまたのおろち]を退治し、出雲建国の礎を築いた。この「暴れる恐ろしい神なのに、人びとのために活躍する」存在こそ、多神教的世界における象徴的な神の姿で、神話の中でスサノヲが、その役目を負っている。……