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Vol. 1

「『買いたい』人に『売らない』」 ファミマ店長「かまいたちの弟」が特殊詐欺と闘い続ける理由

2026年6月2日


<span>「『買いたい』人に『売らない』」 ファミマ店長「かまいたちの弟」が特殊詐欺と闘い続ける理由</span>
山内店長が勤務するファミリーマート松江学園南店

警察からの感謝状は10回。特殊詐欺を阻止する匠・山内剛(たけし)は、今日も松江のファミリーマートでレジを打つ。店の売上よりも「正義のために売らない」を選ぶその背景にあるものとは何か。兄である「かまいたち山内」も驚く、8年にも及ぶ詐欺犯との闘いに迫った。

コンビニ店長は忙しい

 山内剛は39歳。ファミリーマート(以下ファミマ)の店長として20年、今は松江学園南店に勤務している。お兄さんはお笑いコンビ、かまいたちの山内健司だ。ただ、剛はある時まで、有名人の弟だと自ら話したことはなかった。兄と仲が悪かったからではない。そんなことを言う必要はないと思っていたのに加え、コンビニ店長の仕事自体に生きがいを感じていたからだ。有名人の弟と呼ばれるより世の中のためになるコンビニ店長でいる方がはるかに幸せだった。

 そう彼は信じていた。

 2018年、剛は初めて特殊詐欺を阻止した時、地元の松江警察署長から感謝状をもらった。それが地元紙の小さな記事になった。翌年、彼はふたたび特殊詐欺を阻止した。その際、「かまいたちの弟」として地元紙に載ったのである。

 本人はかまいたちの弟だと報じられたことを好ましいと思った。それは自分が有名になることで、少しでも特殊詐欺を防ぐことができれば本望だと思ったからだ。

「どんな形でもいいんです。報道していただくのはありがたいです。特殊詐欺を阻止するためなら何でもやります。僕は一日警察署長もやりました。兄からは『なんでお前が先に一日警察署長をやるの』とも言われました。でも、やらせていただけるなら何でもやります。それくらい、特殊詐欺は増える一方です。僕が人に知られることで、少しでも特殊詐欺を阻止できればいい。そう思ってマスコミにはお世話になっています」

 かくして剛は地元では有名人になった。「かまいたちの弟」で、しかも「阻止の匠(たくみ)」として知られている。

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山内店長(筆者撮影)

 わたしは彼に会うために松江駅でタクシーを捕まえて、「ファミマの松江学園南店へ」と伝えた。すると、ドライバーは「取材ですか? 阻止の匠さんやな。有名人ですわ」と間髪を入れずに答えた。彼はそれくらい地元では知られている。

 山内剛は松江市本庄町で生まれた。父親は小学校の校長先生だった。兄のかまいたち山内健司は6歳上である。

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