経済・ビジネス

「ハーグ地裁判決」が世界のCO2 削減につながらない理由

2021年6月11日


<span>「ハーグ地裁判決」が世界のCO2 削減につながらない理由</span>

地球温暖化対策を求める株主や環境NGOの要求に、エネルギー企業が立ち往生するケースが相次いでいる。ブラックロックCEOのラリー・フィンクは「非上場企業はどうするのだ」と課題を挙げるが、個別企業叩きでは生産・販売が他のプレイヤーに移り、問題解決につながらない点が重要だ。判決に対するシェルの長大な「FAQ」を徹底分析。

「2021年5月26日」、この日を『フィナンシャル・タイムズ』(FT)は社説で「石油業界の暗黒の水曜日」と呼んだ。米大手国際石油会社「エクソンモービル」(エクソン)と「シェブロン」の株主総会で「気候変動対策を現経営陣の計画より強化せよ」とする株主提案が可決され、一方で英蘭大手国際石油「ロイヤル・ダッチ・シェル」(シェル)が蘭ハーグ地裁から「NGO等の要求とおりにCO2削減を強化、迅速化せよ」との判決を受けたからだ。

 本件を紹介した『「高配当」と「環境」の両立を要求する「エネ企業株主」の自己矛盾』(本欄2021年5月31日)を書いたとき、筆者は少数株主の「破壊力」に驚愕していた。だが、冷静に考えると、蘭ハーグ地裁が「企業にも人権を守る義務がある」として原告である環境派NGO(Friends of the Earth Netherlands=FoEオランダ)の要求を認めたことの方が、業界にとっては深刻な意味を持つのではないだろうか?

 蘭ハーグ地裁の判決根拠を詳しく知りたいと思った筆者は、個人の「フェイスブック」「ツイッター」で「判決文(但し、英文)をお持ちの方はシェアして欲しい」と呼びかけた。だが、現時点では入手できていない。もっとも、緻密な法論理に基づいた「判決文」を読んでも、法知識に限界がある筆者が正確に読み解くことは難しいだろう。したがって筆者は、入手可能な情報を基に、この判決が今後どのような影響をもたらすのかを愚考するしかないのだ。

 と、考えていたところ「シェル」HPに、本件に関して「蘭地裁での訴訟についてよくある質問(FREQUENTLY ASKED QUESTIONS (FAQ) ON DUTCH DISTRICT COURT LEGAL CASE)」と題した質疑応答集が掲載されているのを発見した。この「シェルFAQ」を読むことで、本件に関する根本的課題と、今後どうなりそうかについて多くの示唆が得られた。……

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