日本でも「2050年排出ネットゼロ」実現を念頭に、諸施策・政策が議論されるようになっている。英国グラスゴーで11月開催予定の「COP26」(第26回国連気候変動枠組条約締結国会議)に向けて「脱炭素化」は、もはや世界の基本的潮流となったと言っていいだろう。
したがって基本認識としては、2021年5月18日に「IEA」(国際エネルギー機関)が発表した「2050年排出ネットゼロへの工程表」(工程表)に代表されるように、2050年に向けて世界の石油・ガス需要は増加するどころか大幅に減少すると見られているのだが、原油市場にはこれを否定するような動きがいくつか散見される。
シェールオイルの将来性を占う「パーミアン陸盆」資産売却計画
たとえば、カタールがLNG(液化天然ガス)生産能力を年産7700万トンから1億1000万トンに40%拡充すべく、リスク分散と財源確保を目的とした事業パートナーを求めているが、これに対し大手国際石油がこぞって応札すると伝えられている。すでに「カタール国営石油」(QP)とパートナーを組んでいる「エクソンモービル」(エクソン)、「ロイヤル・ダッチ・シェル」(シェル)、社名を変えたばかりの「トタル・エナジーズ」(旧トタル)、「コノコ・フィリップス」に加え、「シェブロン」、「エニ」が手を上げているとのことだ(『ロイター』2021年6月14日「Exclusive : Energy majors bid for Qatar LNG project despite lower returns」)。
一方で、財務体質強化のため資産売却を予定している「シェル」は、驚いたことに米テキサス、ニューメキシコ両州にまたがるシェールの宝庫「パーミアン陸盆」の資産売却を検討しており、対象資産の規模から考えて手を上げるのは大手石油会社に限られるだろう、と報じられている(『ロイター』2021年6月13日「Shell weighs blockbuster sale of Texas shale assets」、『フィナンシャルタイムズ』(FT)2021年6月14日「Royal Dutch Shell : potential Permian sale is only a drill」)。……