カルチャー

連載小説:裂けた明日 第13回

2021年7月24日

内戦により、分断された日本。相次ぐ震災と原発事故、そして例の病気の蔓延で、国民の生活は壊滅的な影響を受けていた。家族を亡くし一人暮らす男の元へ、逃亡者が現れる――。<作家の眼が、現実を鋭く照射する。近未来の分断日本を描く、スリリングなSF長篇>

高速バスに乗った直後、外から爆発音が響く。車内の客は騒然となるが――。

[承前]

 乗客の全員が立ち上がり、リアウィンドウごしに後方を見ていた。信也も立ち上がった。

 あの商業ビルの、セール中と書かれていた大きなガラス窓のあたりで爆発があったようだ。ビルの内側での爆発だ。煙がまだあたりにただよっている。道路では車が一台ひっくり返り、反対側の車線では二台が衝突していた。そのうちの一台は爆風でガラス窓の真ん前から吹き飛ばされたのだろう。路面には細かな瓦礫が散らばっていた。倒れているひとが、三人か四人いる。もし三十秒遅くロータリーを出ていたら、このバスも爆弾で穴だらけになっていただろう。へたをしたら、吹き飛んで転がっていたかもしれない。……

おすすめの記事

すべて見る
戻るボタン 次へボタン

おすすめの動画

すべて見る
戻るボタン 次へボタン

ニュースレターを購読する

新潮QUEは、「問う力」を養っていくためのサブスクリプションサービスです。

無料登録する