社会

独裁と「経営不在」の歪んだ聖域  大学法人にメスは入るか

2021年7月30日


<span>独裁と「経営不在」の歪んだ聖域  大学法人にメスは入るか</span>
国内の大学を選ばない高校生も増えてきた(写真はイメージ)

日本の大学の国際競争力低下が指摘されて久いが、その大きな理由にガバナンスの弱さが挙げられる。特に私立大学では理事会の有名無実化が放置され、理事長の“独裁化”も起きてきた。文科省が設置した「学校法人ガバナンス改革会議」と政府が立ち上げる10兆円規模の「大学ファンド」を大学再生の契機に活かせ。

 大学の地盤沈下に日本政府がようやく重い腰を上げ始めた。

 政府は日本の大学の国際競争力を強化することを目的に、2021年度中に10兆円規模の「大学ファンド(基金)」を立ち上げることを決め、現在、有識者会議で資金の運用方法や分配する大学の条件などを検討している。仮に3%の運用利回りを上げれば、年間3000億円規模の運用益が確保でき、それを原資に各大学に分配して研究支援を行う構想だ。2021年度中の運用開始を目指し、2023年度から利益分配を始める予定だ。

 日本の大学の世界における地位低下が指摘されて久しい。英国の教育情報誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」のランキングでは、日本トップの東京大学は世界で36位、次いで京都大学が54位で、上位100校に入ったのはこの2大学だけだった。最近では、優秀な高校生は日本の大学には進まず、いきなりハーバード大学など欧米の一流大学を目指す人が増えている。日本の大学を卒業しても国際的には通用しないという焦りが広がり、霞が関の幹部官僚などが自身の子女を、東大ではなく欧米の大学に進学させるケースも増えてきた。また、日本の大学の研究開発力が、欧米大学や中国の大学に比べて大きく劣後している点も指摘されている。

私立大理事長が“独裁化”する理由

 政府は大学ファンドの創設と共に、国立大学改革や私立大学の改革に乗り出している。日本の大学の研究基盤が弱く、国際競争力が低い背景には、何と言っても資金力が桁外れに小さいことが挙げられる。国家が丸抱えで大学のレベルアップを図っている中国は別として、欧米の大学は「経営力」を高めることで、寄付や共同研究などの資金を集め、それを教育・研究に再投資することで、競争力を高めてきた。……

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