カルチャー

連載小説:裂けた明日 第35回

2021年12月25日

内戦により、分断された日本。相次ぐ震災と原発事故、そして例の病気の蔓延で、国民の生活は壊滅的な影響を受けていた。家族を亡くし一人暮らす男の元へ、逃亡者が現れる――。<作家の眼が、現実を鋭く照射する。近未来の分断日本を描く、スリリングなSF長篇>

三杉との約束に向かう道すがら、信也は由奈との会話から学生時代の思い出を呼び起こされる。真智の母親である史子との、ある日の忘れがたい会話を。

[承前]

 地下鉄が春日の駅で停まり、七、八人の乗客が乗ってきて、その一部は信也たちの前に立った。信也たちは会話をやめた。

 三田線を日比谷駅で降りて、日比谷線の北千住方面行きホームに移った。二分ほどで電車が入ってきた。ひと駅で、銀座駅だ。ランデブー場所は、ホームのどのあたりかの指定はなかった。中央付近にいればいいのだろう。……

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