カルチャー

連載小説:裂けた明日 第38回

2022年1月22日

内戦により、分断された日本。相次ぐ震災と原発事故、そして例の病気の蔓延で、国民の生活は壊滅的な影響を受けていた。家族を亡くし一人暮らす男の元へ、逃亡者が現れる――。<作家の眼が、現実を鋭く照射する。近未来の分断日本を描く、スリリングなSF長篇>

テント村から退去するよう告げられ、三人はすぐにでも落ち着く先を探す必要に迫られる。その矢先、ある光景が信也の目に飛び込んでくる。

[承前]

 トラックの運転席からドライバーが降りて、荷台の後部のドアを開けた。マスク姿の作業員たちのうち、ふたりが荷台に乗った。フォークリフトが近づいてくる。信也はその袋の脇まで近寄った。寝袋でいえばちょうど胸がくるあたりに、荷札のようなものがつけられている。ひとの名前が書いてあった。

 児玉正士と読めた。同じ作業現場のあの児玉だろうか。昨日、胸が苦しいと言っていた男。……

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