前回は、マイクロソフト復活のカギが「グロースマインドセット(Growth Mindset)」の醸成にあったことを指摘すると共に、企業の盛衰についてそのライフサイクルと絡めて論考した上で、日本企業の凋落や産業競争力の弱体化について総括した。今回は、企業の活力と経営リーダーの資質について考えてみたい。
スティーブ・ジョブズの「営業嫌い」
米アップル共同創業者の故スティーブ・ジョブズは生前「マイクロソフトを見てごらん。会社を仕切っているのは営業畑出身のスティーブ・バルマーだろう? だからつまんないんだよ」と言っていたという(『アップル創業者ジョブズが「営業出身の社長はつまらない」と切り捨てた理由』ダイヤモンドオンライン2021年12月12日)。
会社の経営者には営業畑出身者がいいか技術畑出身者がいいか、文系がいいか理系がいいか、という議論はよく耳にするが、このような議論に意味はあるのだろうか。
ちなみに、諸外国に比べて日本では文系と理系の区分けを強調しがちであるが、こうした区分けをすることによる教育的、社会的弊害も多い。特にデジタル時代には、数学や統計などの基本は文系理系問わずに求められる必須の一般教養でもあり、Science、Technology、Engineering、Art、Mathematicsを統合的に学習するSTEAMやその順番を並べ替えたTEAMSという教育手法が重視されるようにもなっている。従来の文系理系の区分けは早急に見直したほうがいいだろう。ただ、ここではそのような議論は置いておき、冒頭のスティーブ・ジョブズの発言をシンプルに分析してみたい。……