カルチャー

連載小説:裂けた明日 第40回

2022年2月5日

内戦により、分断された日本。相次ぐ震災と原発事故、そして例の病気の蔓延で、国民の生活は壊滅的な影響を受けていた。家族を亡くし一人暮らす男の元へ、逃亡者が現れる――。<作家の眼が、現実を鋭く照射する。近未来の分断日本を描く、スリリングなSF長篇>

大学の同級生の久保と再会した信也。昼食の店に向かう途中、三杉の遺体が発見されたという情報が入る。

[承前]

   靖国通りを歩きだしたとき、後ろでサイレンのような音が鳴り始めた。信也たちは足を止めて振り返った。音は近づいてくる。自動車の警報器なのかもしれないが、警察車両のものではなかった。靖国通りを走行中の自動車がみな徐行し始めた。

 見ていると、元防衛省の正門のほうから軍用車が列を作って靖国通りを走ってきた。先頭は迷彩塗装の軽装甲車だった。その装甲車が、サイレンを鳴らしているのだ。後ろにやはり迷彩塗装のトラックの隊列が続いていた。オーストラリア軍の輸送車だった。……

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