*この記事は3月10日に行われた講演内容をまとめたものです。各データは同日時点の数値に基づきます。
西村博一(フォーサイト編集長):新型コロナウイルスの感染拡大が始まって2年以上が経過しました。その間、リモートでチームワークを作りながらの仕事ができるようになりましたし、ECの世界も随分発達して新たに台頭した業態もあります。その意味でVUCAの世界は必ずしもネガティブではなく、新しいものが生み出されていく母体とも言えそうです。アフターコロナの社会で明確に変わっているものとは何でしょうか。
「最後まで変わらないもの」を見極める
辻野晃一郎:自然災害等で交通機関が麻痺した時でも、何とかして会社に行こうとする人々で駅がごった返す光景を、私たちはたびたび目にしてきました。このある意味では生真面目な国民性が、生産性向上の阻害要因にもなってきたと言えます。インターネットを活用したリモートワークの環境は、コロナの前でもそれなりに整っていたはずですが、これまでは敢えて積極的には活用してきませんでした。コロナ禍で背に腹は替えられないことになり、ようやく少しずつ動き始めたという印象です。
変わることに対して腰が重い日本人ですが、実は以前にも転換点となり得る機会はありました。たとえば2011年の東日本大震災です。津波の被害で役所や企業などの大量のパソコンが使用不能になりましたが、もしこの時点までにクラウド環境への移行が進んでいれば、貴重なデータなどの消失は防げたはずですから、これを一つの契機としてDXを一気に推進するチャンスでもありました。しかし結局、“喉元過ぎれば”で、日本社会はさほど大きくは変わらなかった。今回こそは、コロナが終息してもまた元に戻るのではなく、はっきり覚醒して、やるべきことをただちにやるという癖付けをしていかねばならないでしょう。……