かつて「興行ビザ」を取得してフィリピンから日本へ多数の女性が出稼ぎにきた。彼女たちが働くフィリピンパブやその暮らしぶりを研究していたはずの大学院生が、研究対象のフィリピン人女性と恋に落ち、結婚。子どもも生まれて日本で生活する中で体感した「国際結婚」の実情を書いた『フィリピンパブ嬢の経済学』(中島弘象著)を、『エスニック国道354号線』の室橋裕和氏が紹介する。
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8月1日、政府は「興行ビザ」の取得要件を緩和した。このビザ、歌手やスポーツ選手など「興行」に関わる目的で日本に滞在する外国人に発給されるもの。取得を簡単にすることで海外のアーティストが日本で公演しやすくなるが、背景には韓流ブームの高まりがあるともいわれる。
ではなぜ、「興行ビザ」はいままで厳しく運用されていたのだろうか。それは「興行」の名目でビザを取って日本に入国したものの、実際にはホステスとして働く女性たちが多かったからだ。ビザは滞在目的に合ったものを取得しなくてはならない。興行ビザで入国し、ホステスとして働くことは不法就労にあたる。しかし80~90年代はこれが黙認されており、多数の女性たちが来日して夜の世界で働いた。彼女たちの受け皿となっていたのは、おもにフィリピンパブだった。……