現職の理事長が逮捕されるという前代未聞のスキャンダルから2年がたった日本大学。絶大な権力を振るった田中英寿・元理事長体制を一新して誕生したはずの林真理子体制でも、再びスキャンダルが勃発した。なぜ、日大でこれほどまでに世間を騒がす不祥事が続くのか。
これは決して日大だけの問題ではなく、大学を運営する学校法人が抱える「ガバナンス」の欠陥が背景にある。すったもんだの末に成立し2025年4月から施行される改正私立学校法では、大学のガバナンス強化に向けて各大学の取り組みを求めている。青年人口が今後大幅に減少し、生き残りに向けた競争が一段と激しくなる中で、大学経営を左右するガバナンスの行方を追う。
ガバナンス強化を逆手にとる人々
「何としても林理事長を引きずり下ろそうという勢力が暗躍しているんです」と日大の改革派関係者は語る。
日大は2023年12月15日に臨時理事会を開き、違法薬物問題を起こしたアメリカンフットボール部の廃部を決めた。だが、これもすんなり決まったわけではなく、12月1日の理事会では反対意見が出て継続審議となっていた。
また、責任を取って辞任が決まった酒井健夫学長と澤田康広副学長についても、11月22日の理事会では「辞任勧告」をしたものの、両者が辞任を受け入れて正式に決まったのは11月29日の臨時理事会だった。しかも即時辞任ではなく、澤田副学長が12月末、酒井学長は2024年3月末ということになった。
一見、林理事長のリーダーシップが欠如しているように見える。メディアにも少なからず、林氏は作家で経営には素人なので理事長としては不適格だという論調がある。だが、実は、林理事長が手腕を発揮できない「ガバナンス上の制約」があり、それを利用して勢力拡大を図る人々との凄まじいバトルが繰り広げられているというのだ。
澤田副学長が続けた徹底抗戦
違法薬物問題の責任者である澤田副学長を巡っては早くから更迭説が燻っていた。舞台となったアメリカンフットボール部の寮から大麻と見られる「植物片」が見つかったにもかかわらず、澤田副学長が12日間にわたって「保管」し、警察に通報していなかったことが判明。澤田氏自身は隠蔽の意図を否定したものの、責任は免れないという見方が強かった。その後の、逮捕・起訴された学生の裁判では、学生がアメフト部の監督から「澤田副学長に見つかってよかったなと言われました」と証言、「副学長がもみ消すんだと思い、少し安心しました」と語るなど、アメフト部の問題隠蔽体質と、元検事である澤田氏の役回りが明らかになる結果となった。……