「大学全入時代」に激変する中学受験の勢力図
中学受験を巡る動向としては、相変わらず最難関校を目指す層が一定数いる一方で、最近では海外の大学の合格者を輩出している中高一貫校、渋谷教育学園渋谷(東京都渋谷区)や広尾学園(東京都港区)など、偏差値や東大合格率といった従来の基準ではなく、グローバルな実績などが高く評価され、受験者数を大きく伸ばしている学校が目立っています。
この勢力図の変化の背景には「大学全入時代」の影響があります。少子化によって大学の入学定員が大学入学希望者の総数を下回り、基本的にどこかしらの大学に全員が入学できるようになった今、保護者の意識が「大卒の資格を取るために勉強させる」ことから「大学4年間でどういうスキルを身につけるか」という方向へシフトしています。中学受験の段階でも、必ずしも最難関校に行かずとも世の中で活躍できる人財になれるという実感を持ち、多様なルートを考えるご家庭が増えているのです。小学校受験で青山学院初等部や立教、慶應義塾幼稚舎に子どもを行かせたり、インターナショナルスクールに通わせたりするご家庭も、昔のように医者や自営業などでお金持ちだからという理由だけではなく、明確な考えや教育方針を持ってそのルートを選んでいます。
こうした保護者のニーズに応えようと、学校側は様々な改革に取り組み、積極的にPRをしています。例えば女子校の山脇学園(東京都港区)はつい5〜6年前まで四谷大塚の偏差値で45ほどでしたが、実践女子学園(東京都渋谷区)や東京女学館(東京都渋谷区)を優に追い抜き、今や偏差値55くらいまで跳ね上がっています。制服を変えたり校舎を建て替えたり、理系入試を取り入れたりと試験制度自体にメスを入れたことが保護者に高く評価されました。一時は共学化の噂も出るほど厳しい状況だったのに、女子校のままで中身の改革に本気で取り組み、見事に人気を高めた好事例です。
恵泉女学園(東京都世田谷区)も、一時は偏差値が50を切っていましたが、今は偏差値55ほどとなっています。試験のタイミングの設定を工夫し、桜蔭学園(東京都文京区)など他の難関校を受けた子が併願校として午後入試にチャレンジしやすい環境をつくったことが躍進の一因です。