テクノロジー

アフリカ「モバイルゲーム市場」と日本IPの可能性(上)インドで起きたことがアフリカでも起きている

2025年8月16日

アフリカのモバイルゲーム市場が急速に進化している。通信費の低下、100ドル端末の普及、モバイルマネーの浸透——かつてインドが7年かけた発展段階を、アフリカは数年で駆け上がろうとしている。この変化の中で、日本発のアニメやゲームIP(知的財産)が存在感を見せ始めているが、単なる輸出では持続しない。アフリカ市場の発展段階を俯瞰するために、すでに類似の進化を経験したインド市場と比較しながら、今後の市場移行と収益化の可能性を探っていく。

アフリカ市場にはゲーム企業が本格的に参入する好機が訪れている[モバイルゲームを楽しむアフリカの若者](筆者提供)

世界最後の成長フロンティア――アフリカ・ゲーム市場の構造と可能性

 世界のモバイルゲーム市場が成熟フェーズに入りつつあるなか、アフリカが次なる成長ドライバーとして浮上している。15億人超の人口のうち半数以上が25歳未満という若年層中心の人口構造に加え、スマートフォンの接続率も2023年時点で51%に達し、2030年には81%へと拡大が見込まれている。通信インフラも急速に整備が進み、サブサハラ地域では、2026年半ばには4Gカバレッジが3Gを上回る見込みだ。こうした端末・通信環境の進化が、アフリカのデジタル経済全体に構造転換をもたらしつつある。

20241107 Mobile Economy SSA 2024 拡大画像表示

 アフリカのゲーム市場は、欧米や日本のようにコンソールやPCゲームを経由することなく、いきなりスマートフォンが主戦場になった(売上の90%はモバイルゲーム)。これは、以下の三つの構造的要因によって裏付けられている。

 第一に、低価格スマホの普及である。中国・トランシオン 傘下のアフリカ市場特化型スマホブランド Infinix/TECNOなどが100ドル前後の端末を普及させたことで、RAM4GB以上・Android13対応といったミッドレンジスペックが普及した。加えて、ローカルブランドのSico Nile(エジプト)、Afrione(ナイジェリア)、Onyx Connect(南アフリカ)、OpenG(コートジボワール)、MaraPhone(ルワンダ)、等のローカルブランドも続々と立ち上がってきており、低価格スマホは急速に普及している。

 第二に、通信コストの低さが挙げられる。英BestBroadbandDeals 社による統計では、2023年におけるナイジェリアでは1GBあたりのデータ通信料が平均0.39ドルと世界最安水準にあり、ユーザーが通信量を気にせずゲームをダウンロード・プレイできる環境が整っている。エジプトは0.65ドル、南アフリカ1.81ドル、日本は3.48ドル、米国6.0ドルとなっている。世界平均は2.61。アフリカ平均は3.64ドル。主要国の通信コストの絶対値の低さに加えて、通信費が年々大きく下がったことから、ゲーム等の通信を以前より利用しやすくなっている。……

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