<span>IQ衰退に強まる政治的分断……『スマホ脳』著者が警告する「AI」がもたらす人類の未来</span>
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インサイト|社会

Vol. 4

IQ衰退に強まる政治的分断……『スマホ脳』著者が警告する「AI」がもたらす人類の未来

2026年5月18日

『スマホ脳』(新潮新書)著者でスウェーデンの精神科医、アンデシュ・ハンセン氏。今や人類共通の病となったスマホ依存のメカニズムを解き明かし、警鐘を鳴らしたことで日本でも同書はベストセラーになった。ハンセン氏の研究の主要なテーマは「高度に文明化した社会に、なぜ人間はうまく適応できないのか」というもの。「人間の脳の仕組みは1万年前からほとんど変わっておらず、最新のテクノロジーと共存し、幸福になれるようにはできていない」と主張するハンセン氏は、人類の仕事・生活に侵食するAIの脅威を、どう見ているのか。【聞き手・文/湯浅大輝】

テクノロジーは人間の脳を「ハック」する

『スマホ脳』が日本でベストセラーになったのが2021年。それから5年経ちましたが、今度はスマホを超える、驚異的なテクノロジーが出現しました。

 AI。それは人々の想像を超えた、信じられないほど強力なテクノロジーです。精神科医の私はもちろん、大規模言語モデル(LLM)の開発者自身も、その賢さと進化のスピードに驚いています。

 AIはありとあらゆる分野で、人間より優れた知能を持つ存在になりつつあります。Grokを開発するイーロン・マスク氏や、ノーベル化学賞を受賞したGoogle DeepMindのデミス・ハサビスCEOは、期間は問わず「AIは将来、人間よりも高い知能を持つことになる」と予測しています。

 これは考えてみれば驚くべきことです。なぜなら、私たち人間、つまりホモ・サピエンスが、もはや地球上でもっとも賢い種ではなくなることを意味するのですから。

 AIの出現は、テクノロジー史という文脈においても画期的だと言えます。活版印刷やインターネットの登場は人間の仕事・生活のあり方を革新しましたが、これらのテクノロジーは人間が支配・活用する「ツール」という色彩が強い技術でした。

ところがAIは、単なるツールではありません。自ら意思決定を行い、プロンプトを入力すると物事を独自に創造できる存在です。人類はAIの発展とともに、仕事・社会生活・教育・人間関係の構築といった分野で、根本的な変化に直面せざるを得ないでしょう。

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