社会

危機管理コンサルタント「田中辰巳」が語る「統合報告書」の新潮流【ウェルビーイング探訪記】

2026年4月30日


<span>危機管理コンサルタント「田中辰巳」が語る「統合報告書」の新潮流【ウェルビーイング探訪記】</span>
(株)リスクヘッジ代表取締役会長の田中辰巳氏と服部恭子さん

「ウェルビーイング」への取り組みが、企業の健全性を評価する基準になりつつある。企業は有価証券報告書に「危機管理」について記載を義務付けられているが、危機管理とウェルビーイングは表裏一体だという。その理由を専門家が解説する。

危機管理とウェルビーイングは表裏一体

服部 最近、各企業でウェルビーイングの取り組みが始まっていますが、SDGsの定着で、次の目標になっているのでしょうか。

田中 ウェルビーイングとは、人の体と心、および社会が良好な状態をいいます。敗戦後、日本は必死になって復興を果たし、高度成長に進みました。そこで終身雇用と年功序列が可能になったわけですが、それによって滅私奉公的な発想が生まれた。そのためにウェルビーイングが置き去りになってしまったのです。ところが今では終身雇用と年功序列も果たされなくなって、企業はSDGsに続き、もう1歩進めて、今度は社員のウェルビーイングにも取り組まないといけない時代になったのです。

服部 そこで田中さんが専門にしておられますのが危機管理ですが、ウェルビーイングと抱き合わせで講演のご依頼があると伺っております。これはどういうことなんでしょう。

田中 危機管理とウェルビーイングというのは完全に表裏一体のものなんです。レベルの高い危機管理を企業ができないと、その企業の商品を買った消費者も良い状態にならない。変なものを買わされて使わされるわけですからね。従って、危機管理が定着することが、社員にとってのウェルビーイングにつながっていきますし、消費者のウェルビーイングにもつながる。例えば、お客様相談室で働いている人に、クレーム対応の理論がしっかり身についていれば消費者の満足度が高まります。一方で社員の側も仕事がそれほどストレスにならなくなります。

服部 元々、田中さんは企業にお勤めの時にクレーム対応などを経験なさっていたから、危機管理だけでなくウェルビーイングにも携わっていらしたんですね。

田中 当時はウェルビーイングという概念はありませんが、危機管理の対応をしていく中で、すべてのステークホルダー(利害関係人)と良い状態を作らないと危機に遭遇し、また危機をうまく解決できないということを痛感しました。そこから危機管理というものを「自他共栄の危機管理」と考えるようになりました。

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