産業革命レベルの発明「量子コンピュータ」
量子コンピュータの実用化はあらゆる産業を一変させます。量子コンピュータの本質は「計算革命」にあり、従来の古典コンピュータでは現実的な時間で解くことが困難だった、物質科学・化学・生物学において、量子力学が関わる分子レベルの現象を、これまでとは桁違いのスピードで解明できるようになります。
このことで触媒などの新たな化学物質の発見、新素材を活用した高性能な電気自動車用バッテリーの開発、さらには探索コスト削減による新薬の開発など、科学の発明が加速することで、19世紀の「産業革命」に類する文明の飛躍的発展を遂げると予想されています。
AIなどの技術力と資本力でリードをとっているアメリカは、研究開発に投下する資金においても、人材の厚みにおいても、他国と圧倒的な差をつけています。
一方、日本の先見性も評価すべきです。産業技術総合研究所(以下、産総研)は、2023年にG-QuAT(量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター)を立ち上げるなど、「量子コンピュータとAIは双方の進化を加速する」という極めて重要な観点に早くから気づいており、具体的なプログラムを推進してきました。AIが量子コンピュータの誤り訂正やカリブレーション(装置のずれの調整)、アーキテクチャのデザインに欠かせない技術になっている一方で、量子コンピュータはAI、特に「AI for science」(科学研究に活用するAI)の訓練に必要なデータを生成する、という相互補完関係にあるのです。産総研は弊社プロダクトも含む量子コンピュータを導入しており、量子・AI融合の研究を進めています。
また日本は量子コンピュータの実機において、材料や精密機械などの部品メーカーにも強みがあります。そうした中で、日本の量子産業はどのような方向に進みうるのか。いくつか論点を提示したいと思います。