中央銀行の「廃止」には賛同しない
ドル円の変動幅は5月18日週から25日週の2週間でわずか1.65円にとどまった。しかし、この静寂がいつまで続くかは、5月22日にFRB(連邦準備制度理事会)議長に就任したケビン・ウォーシュ氏にかかっていると言えそうだ。同氏がかつて勤務した古巣のモルガン・スタンレーは、デビュー戦となる6月16〜17日のFOMC(連邦公開市場委員会)で為替のボラティリティが急伸する「波乱」に注意を呼びかける。5月25日週のドル円1カ月物インプライドボラティリティ(IV、予想変動率)は2022年以来の低水準を記録しているが、ウォーシュ氏が市場に「衝撃と畏怖(Shock and Awe)」をもたらすリスクには留意が必要だ。
ウォーシュ氏は、インタビューや指名公聴会での証言で①政策ツールの見直し、②物価安定の取り組み、③コミュニケーション手法の変更――の3つを軸に、「FRBの改革」を主張し続けてきた【チャート1】。就任後早々には、有言実行とばかりに改革に着手。その象徴的な動きの一手こそ、暫定的ながら招いた2人の顧問である。
顧問の1人は、ウォーシュ氏と同じくスタンフォード大学フーバー研究所で政策フェローを務めるダニエル・ハイル氏だ。同氏は2016年の大統領選でジェブ・ブッシュ氏の経済政策アドバイザーに抜擢され、連邦政府の医療費支出の削減や社会保障制度改革に関する研究・著作で知られる。もう1人が、より注目を集める存在だ。2024年の大統領選挙を前に保守系シンクタンクヘリテージ財団が中心となって作成された保守政策青写真「プロジェクト2025(Project 2025)」において、FRBに関する章の執筆者として名を連ねたポール・ウィンフリー氏である。