(前篇からつづく)
生態系のなかのコンピュータ
森田 前作『数学する身体』では大きくいえばチューリングが主役の前半と岡潔に焦点を当てた後半に分かれているのですが、『計算する生命』は僕のなかでは、前作の前半に対応していて、これからまた「後半」を書き進めていく必要があると思っています。今回の第四章はその意味で、後半に接続していく予告編のようなところもありつつ、今日の対話のなかで、そこへ進んでいくための大きなヒントをいただいたような気がしています。
鈴木 古代ギリシア数学の歴史から来て、一九世紀に一つの極致に達したあと、今度はターンして人工知能や人工生命が出てきた。人類史、生命史自体をもう一回この地点から振り返って、もう少し考えてみると何かが見えてくるかもしれません。いったい人類は何をやっていたんだろうか。もう一周回すと、さらに深掘りできるかもしれません。
「ハイブリッドシステム」というと、計算機を発明する人類自体が生命ですよねという話に戻ってきます。それがもう一回生命の進化を加速させていく方向に行くのではないか。生命自身が自己複製するときに離散システムを取り込んできて、そのうち進化を複雑化させてきたということを、もう一回別のレイヤーで繰り返しているように僕には思えるのです。それがいったいどういった生命になるのかはまだわからないのですが。……