コーヒーを飲む量が増えた。いまや1日3〜4杯が常態で、読書や原稿執筆の際には、スターバックスなどのカフェに足を運ぶことも少なくない。
私自身がコーヒーを手に取るようになった背景には、健康意識の変化がある。かつては「健康の敵」とも見なされた飲料だが、21世紀に入り医学的評価は大きく転換した。現在では、適量摂取を前提に、生活習慣病や死亡リスクの低下と関連する可能性が指摘されるなど、「最も研究された嗜好飲料の一つ」として再評価されている。
世界中で1日20億杯以上が消費されるこの飲料に対し、科学的関心はかつてないほど高まっている。医学論文データベース「PubMed」におけるコーヒーをタイトルに含む論文数は、2000年の年間90件から、2025年には過去最高の750件に急増している。コーヒーの健康影響について、最新の臨床研究を踏まえて解説したい。
最新研究で「心臓に悪い嗜好品」とは逆の評価
まず注目すべきは、心臓への影響である。コーヒーは長らく「不整脈を誘発する飲料」とされてきた。カフェインによる交感神経刺激が心拍数を上昇させ、期外収縮や心房細動(AF)を悪化させる――こうした理解は臨床現場でも広く共有され、心疾患患者に対して摂取制限を勧めるのが一般的だった。……