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「犬との絆」のはるかな歴史

2026年5月19日


<span>「犬との絆」のはるかな歴史</span>

 いまから約150年前、スイス北部のケスラーロッホ洞窟で、おびただしい数の骨片が掘り出されました。出土品は博物館の収蔵庫で眠り続けていたのですが、今年、そのなかのひとつに関する研究が科学界に大きな波紋を広げることになります。3月の『ネイチャー』誌に掲載された英イーストアングリア大学のベルグストローム博士らの論文です。

 長年保管されていた上顎骨の断片が、ゲノム解析によって約1万4200年前のイヌのものと確認されたのです。それまでゲノムで裏づけられたヨーロッパにおけるイヌの最古記録を3300年も遡る大発見です。

 鍵を握ったのが「ハイブリダイゼーション・キャプチャー」と呼ばれるDNA抽出技術でした。何千年、何万年と地中に埋もれた骨には、細菌など外来生物のDNAが大量に混じっています。博士らは、イヌ科の動物において既知の遺伝子変異を、いわば「釣り針」のように使い、古代の標本から目的のDNAをすくい上げる手法を開発しました。この技術によって、標本がイヌかオオカミかを遺伝的に判別できるようになったのです。

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