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「堅実なスターマー」に飽きて再び「劇場型」を求める英国の不可解な首相交代

2026年7月16日


<span>「堅実なスターマー」に飽きて再び「劇場型」を求める英国の不可解な首相交代</span>
グレーター・マンチェスター市長に転進するまでは、労働党内でも「将来のリーダー」とは言い難い立ち位置だった[バーナム氏=2026年7月4日](C)IMAGO/Pro Sports Images via Reuters Connect

ジョンソン政権のお騒がせ政治に二つの短命政権が続いた2024年当時、スターマーの物静かさや安定性は魅力であり、人々がリーダーに求める資質でもあった。だが、「堅実さ」の賞味期限は短い。かつてフランス人がスキャンダラスなサルコジの後継者オランドに飽きたように、スターマーは特筆すべきほどの失政もなく退場する。代わって首相に就任するバーナムは、一度は中央政界に見切りをつけ、大都市の長として尖った主張を打ち出すことで頭角を現したかつてのジョンソンを彷彿させる政治家だ。

 英国の首相キア・スターマー(63)が辞任を表明し、後任には同じ労働党からグレーター・マンチェスター前市長のアンディ・バーナム(56)が就任する見通しである。スターマー率いる労働党が総選挙で大勝してから約2年。支持率が低迷していたとはいえ、決定的な失政があったとも言いがたく、この首相交代を不可解だと受け止める人は多いだろう。

 スターマーに何が欠けていたのか、人々はバーナムに何を期待するのか、過去の政権や他国のケースと比較しつつ探った。

劇場型政治からの反動

 スターマーが辞意を示したのは6月22日だった。官邸前で記者会見を開き、労働党党首を退任すると表明した。労働党は7月半ばから新党首の選考に入り、近くバーナムを後任として決定する見通しである。

 スターマーの辞任は、最近しきりに取り沙汰されていた。5月7日にあった地方選で、労働党は右翼ポピュリズムの「リフォームUK」や新興左派の「緑の党」に押されて大敗し、「スターマーでは選挙に勝てない」との意識が党内に広まった。重要閣僚の辞任も相次いだ。

 ただ、ふらふらになりながらもスターマーが持ちこたえてきたのは、これといった後任候補が見当たらなかったからである。英国の首相は下院議員から任命されるのが慣例であり、党内の期待を集めるバーナムは自治体の長であるため、その資格がない。しかし、バーナムのために自ら辞任して議席を提供する現職下院議員が現れた。英中部メイカーフィールド選挙区の与党議員ジョシュ・サイモンズ(32)で、これによって6月18日に実施された下院補選で、バーナムはリフォームUKの候補を大差で破って当選を果たした。彼の国政復帰によって、スターマーはいよいよ追い詰められた。

 スターマーのこのような姿を、2年前に予想した人は少なかっただろう。下院の圧倒的多数を制した党勢を背景に、長期政権を率いるだろうと、見込まれていたからである。

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