政治

露わになるロシアのイラン関与「打算と限界」

2026年4月8日

ロシアは19世紀前半に南カフカスの領有権をイランから奪い、イラン現体制が誕生したイスラム革命の際には自国への波及を警戒した。殺害されたハメネイ師とプーチン大統領の個人的関係が近年の蜜月を演出したが、両国の間には本来、根深い不信が存在する。エネルギー価格高騰による漁夫の利のみならず、目下、米トランプ政権の融和姿勢をいかに利用するかが国益の「勘所」となっているロシアは、イランの弱体化を傍観するにとどまっている。

 中東を舞台とする戦火は、時限的な停戦合意にこぎつけたが、いまだ先行きは見通せない。2月末に米国とイスラエルがイランを攻撃して始まった戦闘は、周辺アラブ諸国を巻き込み、世界経済をも揺るがしている。今回の危機は、イランの友好国であるロシアにはどのような影響をもたらすのか。複雑に入り組んだ利害関係を解きほぐし、正負の効果を検討したい。

イランに距離を取ったプーチン氏

〈戦闘行為の即時停止、イラン周辺および中東全域における問題の武力による解決の拒絶、政治的・外交的解決への道に速やかに復帰すること――というロシアの原則的な立場を確認した。この点に関し、プーチン大統領は、湾岸協力会議(GCC)加盟国の首脳と常に連絡を取り合っていると述べた〉

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が3月6日、イランのマスウード・ペゼシュキアン大統領と電話協議した際の露側発表文の一節だ。プーチン氏は電話で、米国とイスラエルの攻撃で殺害されたイラン最高指導者アリ・ハメネイ師や軍・政治指導部幹部、多くの市民に対する哀悼の意も表した。

 だが、文面の趣意には、イランと微妙に距離を置く姿勢が現れていた。ロシアは、中東での新たな紛争で第三者的な立場を取り、サウジアラビアなど湾岸アラブ諸国との関係も重視していると見てとれる。これは何を意味しているのか。……

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