政治

ワクチン対価に「医療情報」要求も 企業顧客を巡り中・台・米で「データ戦」激化

2021年7月28日

台湾が中国企業からの新型コロナワクチン購入を決めるまでには、個人の医療情報に関する攻防があったことがうかがわれる。金融やハイテク分野に止まらず、米中対立が「データ」の管理と囲い込みに広範な影を落としている。

   台湾の鴻海精密工業と台湾積体電路製造(TSMC)が7月12日、独バイオ企業ビオンテックの新型コロナウイルスワクチンを中国医薬品大手・上海復星医薬集団から購入する契約を結んだと発表した。鴻海の創業者で前会長の郭台銘(テリー・ゴウ)氏が仲介役となったようだ。計1000万人分が9月には届く見込みといい、ワクチン不足に苦しむ台湾へ供給が増えること自体は喜ばしいニュースだ。

   だが、事はそう簡単ではない。背景にはやはり、コロナによって動揺した世界で影響力を拡大したい中国の思惑が見え隠れする。キーワードはワクチンそのものというより、現代医療を支える「データ」だ。

「中国の介入」に妨害された台湾

   蔡英文政権は新型コロナ感染者が急増する以前から、ビオンテックのワクチン調達を図っていた。だが「中国の介入」(蔡総統)に妨害され、1月には最終契約書案を交わしたものの、「契約内容以外の問題」(台湾の陳時中衛生福利部長)で締結に至らなかったのだという。上海復星医薬が、ビオンテックの香港やマカオ、台湾の販売代理権を取得したことが影響力の行使につながったようだ。

   中国は他のワクチン調達ルートも妨害したとされる。台湾の「同胞」に大量の中国製ワクチンを提供することで、統一に向けた人気取りを図る共産党の思惑は分かりやすい(世論調査によると、台湾の約7割の人が中国製ワクチンの接種を希望していないというが)。……

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