テクノロジー

GAFA進出が急加速「コロナ禍でデジタル化するインド市場」

2021年8月5日

インドが新型コロナウイルスを克服するのは、まだかなり先になりそうだ。しかしこの感染症は、元来から情報通信に力点が置かれたインド社会のリモート化、デジタル化が大きく進む契機にもなった。先導役は新たなビジネスチャンスを探すGAFAと、そのパートナーになるリライアンスなど財閥だ。

データ社会へ一気に移行

「Test(検査)、Track(追跡)、Treat(治療)、Tika(ヒンディー語でワクチンの意味)を徹底せよ」。インドのナレンドラ・モディ首相は州代表との会議で、南部のケララ州や中西部のマハラシュトラ州で続く新型コロナウイルス感染症の増加が全国に広がり、第三波の感染爆発が起きることに強い懸念を示した。

 同国は去年の感染第一波には厳しい都市封鎖で臨んだものの、対策の緩みから今年5月をピークに新規感染者が連日40万人前後を記録する第二波が到来。救急車が病院の前に列を作り火葬も追いつかないという悲惨な光景が広がった。8月時点での累計感染者数は3000万人を超え、第1位のアメリカに迫っている状態だ。死者の数は40万人余りとされているが、統計に上がってこない死者がいるため実際には一桁多い死者がいるのではないかとの指摘もある。

 インドは天然痘やペストなど感染症との闘いの歴史が長い。都市部では人々が密集して暮らし、経済活動が対面を前提としている。農村部では家族の結びつきが強く人々が密着している。今回の新型コロナでは、ガンジス河の沐浴やモスクでの礼拝など、大規模な宗教行事が感染の場となった。それを許した政府の支持率は大きく下がり、モディ政権はコロナ関係の閣僚を更迭する大規模な人事の入れ替えを行い第三波防止に背水の陣で臨んでいる。首都デリーなど新規感染者数が下がった地域もあるが、変異種のデルタ株がインドで見つかったように、いつまた新しい脅威が訪れるかもしれない。一瞬の気の緩みが感染爆発に直結する危険といつも隣り合わせの国だ。

 その一方で、リモート社会拡大の動きが顕著になっている。政府主導で新型コロナの接触確認アプリをいち早く導入し、アプリを使った配車や宅配のサービスもコロナ禍で急速に拡大している。体温測定用サーモグラフィーを搭載し、医療従事者が被って街頭の群衆の中から高熱の人を検知する「スマートヘルメット」もお目見えした。とにかく今あるもので解決策を見つけるインド式思考法で、斬新なアイデアを即実行してインド社会を猛スピードで変えている。もともとインド政府はインド式マイナンバーの「アダール」で個人情報の集積を始めた情報通信の国だ。インドの大企業を対象にした最近の調査では96%以上の企業がパンデミックを機にクラウドの利用が増えたと答えている。コロナ禍の前から始まっていたデータ社会への移行に一機に火がついた格好になっている。……

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