医療・ウェルネス

「医師は足りており、偏在が問題」論のウソ、教育「地域格差」との意外な関係

2025年2月5日


<span>「医師は足りており、偏在が問題」論のウソ、教育「地域格差」との意外な関係</span>
医療政策の議論には、歴史的、国際的視野に立った議論が必要だ。医師偏在対策では、このような見地が決定的に不足している (C)yu_photo/stock.adobe.com

厚労省の説明を鵜吞みにした「医師余り」論が跋扈するのは相変わらずだが、一方で「医師の偏在」を語る議論にも問題は多い。その典型は「若手医師の僻地・地方への強制配置」。こうした制度で是正できないことは世界的にも明らかだが、それを唱える真意は役所の利権確保に他ならない。そもそも、医師が偏在する構造を作ってきたのは日本の医療改革の歴史なのだ。

 日本の政策論議に欠けているものは何か、それは歴史観と国際的視野だ。その典型が医療政策である。

海外の動きに逆行する医学部の定員削減

 1月21日に開催された「医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」で、これまで、医学部定員に上乗せして募集してきた臨時定員を減らす方針を了承した。つまり、今後、医学部定員は削減される。

 これは、見当違いだ。日本の医学部の学生数が少ないことは、以前にも紹介した。日本の人口10万人あたりの医学部卒業生数は7.2人。経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中、イスラエル(6.8人)に次いで少ない。トップのラトビア(27.3人)の4分の1だ。

 最近、日本に次いで下から3番目の韓国(7.3人)は、政府が主導する形で医学部定員を大幅に増員することを決めた。米国では、米国医科大学協会(AAMC)が、2033年までに5万4000人~13万9000人の医師が不足すると報告し、社会の関心を集めた。ちなみに、2022年時点での米国の医師数は約90万人だ。海外からの医師の受け入れなど対策に余念がない。このあたり、厚生労働省の対応とは正反対だ。……

おすすめの動画

すべて見る
戻るボタン 次へボタン

ニュースレターを購読する

新潮QUEは、「問う力」を養っていくためのサブスクリプションサービスです。

無料登録する