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19.0

【特別公開シンポジウム】アメリカ新政権と無極化する世界のゆくえ(3)

2025年3月7日


<span>【特別公開シンポジウム】アメリカ新政権と無極化する世界のゆくえ(3)</span>

※2024年11月11日開催の講演内容をもとに、編集・再構成を加えてあります

  • 【特別公開シンポジウム】アメリカ新政権と無極化する世界のゆくえ(1)
  • 【特別公開シンポジウム】アメリカ新政権と無極化する世界のゆくえ(2)

 

米中対立をどう見るか

 最後に三つ目に米中対立についてですが、台湾を巡ってアメリカと中国が緊張を高めるという状況はおそらくこのまま続きます。ただ、台湾への戦略的曖昧性に関する宣言政策のレベルでは、トランプ大統領とホワイトハウスの役割分担が、バイデン政権の時と逆になるのではないか。どういうことかといいますと、バイデン政権では大統領が「もし中国が台湾を攻めたらアメリカは台湾を防衛する」と“失言”し、ホワイトハウスが「既存の政策に変更はない」とフォローアップする、というのが戦略的曖昧性を維持する形として既定路線になっていました。しかし次のトランプ政権では、むしろ外交・安保チームが台湾防衛に積極的になる可能性があります。台湾に対して防衛努力の強化を求め、武器売却も積極的に行って対中抑止のための軍備強化もやるし、部隊の展開もやるしということで、中国に対するバランシング、対抗、封じ込めが、より鮮明になる。他方で、トランプさんは「中国がもし台湾に攻め込んだら追加関税200%だ」といいつつも、軍事的にどう対応するのかははっきりさせない。「どう対応するか明らかにしたくない」とトランプさんは言っています。このように、曖昧さのロジックはバイデン政権と全く違うものになりますが、役割としては大統領の方が曖昧にするという宣言政策になるのではないかと思います。

 そして、トランプ大統領やヴァンス副大統領のような抑制主義者が追加関税など経済面での厳しい駆け引きを行い、外交・安保チームは対中抑止戦略を進めるということで、次のトランプ政権は少なくとも当初は、全体的に強硬な対中スタンスをとるところから始める見ていいでしょう。ただそれは平時の話で、正念場になるのは危機が起こった時ですね。危機に臨んだトランプさんがどのような判断を下すのかは本当にわからない。台湾を守るために中国との全面戦争を覚悟するかというと、正直なところ疑問です。……

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