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米国・ロシア・ウクライナ・欧州の力関係ーー交渉の力学を解剖する

2025年4月28日

侵略するロシアとそれに抵抗するウクライナ。この両者に米国と欧州が加わる4つのアクターが停戦交渉の行方のカギを握る。議論の一つの柱は米露だが、トランプ政権はロシアとの“ディール”に躓く苛立ちを隠さない。米国は誰に対してどのようなカードを持っているのか。ロシアの「時間稼ぎ」はどこまで可能なのか、弱点はないのか。米国はウクライナをどこまで自らの意思に沿って動かせるのか。欧州は何がカードなのか。第2回は米国、ロシア、ウクライナ、欧州という4つのアクターをとりあげ、交渉における力関係の分析をつうじて、交渉の全体的構図を把握する。

 ウクライナの停戦に限らず、あらゆる国際交渉に関して、関係国間の力関係を把握することが重要である。それが交渉のあり方や最終的な結果を決するからである。特に、自らを「ディール(取引)の達人」だとする米国のドナルド・トランプ大統領は、国際関係の本質はディールであるとの姿勢であり、この政権下ではとりわけ交渉が鍵になる。

 2025年2月28日の決裂した米ウクライナ首脳会談の席上、ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領に対してトランプが強調したのは、「(ウクライナは)カードを持っていない」との主張だった。では米国はどれほどのカードを持っているのだろうか。

 また、その後3月11日にサウジアラビアで開かれた米ウクライナ協議では、トランプ政権による30日間の停戦案をウクライナが受け入れ、マルコ・ルビオ米国務長官は、「ボールはロシア側にある」と表現した。他方で、4月18日には、パリでのウクライナ、フランス、英国、ドイツとの協議を終えたルビオ長官が、妥結が可能か「数日以内」に判断し、無理であれば、米国は「他の問題に取り組むために手を引く」可能性に言及することになった。交渉がうまくいかないことへのトランプ政権の苛立ちが高まっているのである。

 以下、本連載(2)では、米国、ロシア、ウクライナ、欧州という4つのアクターをとりあげ、交渉における力関係の分析をつうじて、交渉の全体的構図を把握することを目的とする。米国は誰に対してどのようなカードを持っているのか。ロシアの「時間稼ぎ」はどこまで可能なのか、弱点はないのか。米国はウクライナをどこまで自らの意思に沿って動かせるのか。欧州は何がカードなのか。これらの問いにこたえるため、米露、米ウ、米欧、欧ウといった、アクターの間の「対」に着目して分析する。……

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