経済・ビジネス

平均的生活レベルは「1960年代以下」に?――ナイジェリアの「都市の繁栄」と「国民の貧困」ギャップ拡大をどう止めるか

2025年7月2日

人口2.4億の「アフリカ最大の市場」ナイジェリアは、最大都市ラゴス(人口約2000万人)に一定数の高所得層が住み多数のユニコーン企業も生んできた。しかし、国全体で見れば1人当たりのGDP(国内総生産)成長率はわずか0.55%。内需が限定的なため、多くのスタートアップはシリーズA前後で国外展開を余儀なくされる。トマトの大生産国でありながら大量のトマトペーストを輸入していることが象徴する付加価値生産性の低さを解決できるか、新たな試みも始まっている。

同時に進む「都市の繁栄」と「国民の貧困」

 2025 年3月、ナイジェリアのラゴス州は州の GDP が 2590 億ドル(購買力平価ベース)となり、ケープタウン(南アフリカ)を抜いて、カイロ(エジプト)につぐ、アフリカ第2位の都市経済になったと発表した。一方、アフリカ開発銀行(AfDB)のアキンウミ・アデシナ総裁が同年5月に示した数字は対照的だ。ナイジェリアの1人当たり GDP は 824ドルと衝撃的な数値であり、単純計算で1カ月あたり70ドルを下回る。アデシナ総裁は、この数値は1960年の独立時を下回るとして「ナイジェリア国民は64年前よりも困窮している」と断言した。巨大都市の一部の成功と国全体の停滞。この強烈なコントラストは、ナイジェリア経済が抱える「都市の繁栄と国民の貧困」という二重構造を端的に物語る。

 ナイジェリア大統領府はアデシナ総裁の発言について、60年代とはGDPの計算方法が違うためデータは不正確だと反論し、そもそも1人当たりGDPだけで国の発展を評価することに異議を唱えた

 それでも、IMF(国際通貨基金)によれば、2025年のナイジェリアの実質GDP成長率は3.0%(現地通貨ベース)と、サブサハラ・アフリカの平均を下回る見通しだ。さらに、年2.4〜2.5%という人口増加率を踏まえると、実質1人当たりGDP成長率はわずか0.55%にとどまる。これはつまり、ナイジェリアの経済成長が「人口の増加に支えられた量的な拡大」に過ぎず、生活水準の向上や雇用の質の改善といった「中身」が伴っていないことを示している。

雇用の質――「仕事はあるが賃金がない」経済構造

 ナイジェリア国家統計局(NBS)の労働力調査(2024 Q2) によれば、就業者の 85.6 % が自営・家族就業(self-employed)で、企業などに雇われ賃金を得る被雇用者(employees)は 14.4 % にとどまる。さらに雇用全体の 93.0 % がインフォーマル就業で、都市部でも 90 %、農村部では 97.5 % に達している。……

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