経済・ビジネス

原油高でも追い風は吹かず 「軍事スタグフレーション」のロシアに残された道

2026年4月20日


<span>原油高でも追い風は吹かず 「軍事スタグフレーション」のロシアに残された道</span>
ロシアのプーチン大統領 (C)Octavio Hoyos/Shutterstock.com

イラン情勢を受けた原油高がロシアの歳入を上振れさせるのは間違いないが、それが経済の追い風になるとは言い難い。政府系ファンド「国民福祉基金(NWF)」が担っている短期の歳出を賄う機能(財政赤字の補填)が枯渇しており、増収分はその再建や戦費などに消えるからだ。「軍事スタグフレーション」状態のロシア経済が低成長から脱するには、民需を圧迫する軍需の増幅を止める必要がある。

 イラン情勢の緊迫化で、国際原油価格が急騰している。指標となるブレント原油の先物は、年初、1バレル当たり60ドル程度だったが、4月頭には110ドル程度まで上昇した。その後、イランとアメリカが一時的な停戦で合意したため、ブレント原油の先物価格は90ドル台まで低下したものの、年初よりも依然として5割高の状況である。

 国際原油価格は、少なくとも今年は高止まりするだろう。湾岸諸国の産油施設が破壊されたため、原油の供給量そのものが構造的に減少するからだ。他国が増産を図るとしても、その調整には相応の時間を要する。それに、タンカーの手配も必要となる。グローバルな原油の需給の再構築には、少なくとも1年程度の時間が必要となるだろう。

 同様に、石油製品の供給も構造的に減少する。精油施設が破壊されたためだ。石油製品は燃料のみならず、肥料や洗剤、プラスチック製品など、我々の日々の生活に欠かせないモノである。ゆえに、今回のイラン発のエネルギーショックは、様々なモノの値上がりにつながる危険性を有している。モノが上がればサービスの価格も上昇する。

 イラン発のエネルギーショックは、ロシア発のエネルギーショックよりも深刻な影響をグローバル経済に与えるだろう。ロシア発のエネルギーショックは、ロシア産のエネルギーの需給関係が崩れたことで生じたが、中国やインドといった新興国がヨーロッパに代わるロシア産エネルギーの需要家になることで、ショックは吸収された。……

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