経済・ビジネス

経済安保の核心「レアアース危機」、その現実解は「CPTPP」にあり

2025年7月30日

米国の半導体と中国のレアアース、双方の輸出規制の応酬は「互角」に見える。しかし、中国は鄧小平時代からの国家主導でレアアース覇権を手にしており、優位に立つのが実態と言える。「レアアースフリー」技術や南鳥島沖に広がる海底レアアース泥などに高いポテンシャルを持つ日本は、CPTPP圏のクリティカルミネラル供給網構築にイニシアチブを取るべきだ。そこでの国際ルール形成は、日本の経済安全保障の強化においても重要なピースとなるだろう。

G7の結束をつなぎとめた「レアアース危機」

 2025年6月にカナダ・カナナスキスで開催されたG7サミットは、かつてないほどの分断と緊張に直面していた。米国トランプ政権が発する各国に対する高関税政策では「G6 vs. 米国」という対立の構図となり、気候変動、WTO(世界貿易機関)改革など多くの議題でG7の足並みは乱れ、全体としての首脳宣言は発出されないこととなった。そのような中で、米国を含むG7各国の政策的意向が一致したのが「レアアース危機」への対応だった。

 レアアースはレアメタル(希少金属)の一種で、一般的に17種類に分類される。より大きくは、世界中で広く採取できる「軽希土類」と、存在量が少なくて中国に偏在する「重希土類」に二分できる。ハイテク製品の製造に欠かせないことから「産業のビタミン」とも呼ばれ、現代の経済産業においては極めて重要な存在だ。電気自動車などに使われる高性能磁石の材料となる重希土類のテルビウムやジスプロシウムは、わずかに添加するだけで耐熱性や磁力などの性能が飛躍的に高まる。

 2025年4月、中国政府はテルビウムとジスプロシウムを含む7種のレアアースについて輸出審査を厳格化した。その影響は瞬時に産業界に発現。スズキの小型車「スイフト」は5月下旬から一時的に生産停止となった。フォルクスワーゲン等の欧州メーカーもレアアース調達に苦慮し、ゼネラル・モーターズ(GM)等の米国メーカーからも政府に対策を要請する声が上がった。……

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