[ワシントン発/ロイター]ミッションは宇宙企業スペースXが実施したもので、研究はNASA(米航空宇宙局)の資金援助を受けた。研究チームは、2021年12月、2022年7月、同年11月、2023年3月の計4回のミッション(いずれも30〜45日間)において、複数のドナーの骨髄から抽出した幹細胞をリアルタイムで観察した。同一ドナーから得たサンプルを地上にも保管し比較した。
その結果、宇宙に送られた幹細胞は、健康な新しい細胞を造る能力を一部失ったことが分かった。また、DNA損傷を受けやすくなり、染色体の末端の糸状組織「テロメア」で老化の進行を示す兆候が確認された。これらの変化は、宇宙滞在中に重力の影響がほとんどない微小重力状態になることと、放射線への曝露が増えることによると研究チームは結論づけた。
幹細胞は多様な細胞に分化できる能力を持つが、今回対象となったのは組織特異的幹細胞(体性幹細胞)という各組織特有の幹細胞だ。多くの臓器や組織は幹細胞を持ち、それぞれに特有の細胞へ分化するが、体内のどの種類の細胞にも分化できる機能はない。
研究で使われたのは造血幹細胞と造血前駆細胞と呼ばれるもの。骨髄内で赤血球、白血球、血小板といったすべての血液細胞を生み出す役割を担っている。これらの細胞に機能障害があると、組織を修復する能力の低下、免疫系ががんを認識する能力の低下、感染症と闘う能力の低下、さらには寿命の短縮につながる。……