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米国は依然「稼げる」市場、しかし日本企業には必須の視点も

2026年1月19日

5500億ドルの対米投資を、日本企業は成長戦略に組み込めるか。労働コストの高さやトランプ政権の不確実性などリスクの指摘も可能だが、一方でサプライチェーンの強靭化や新技術開発など、米国と“繋がる”ことのメリットは大きい。この高コストと不確実性の国で稼ぐには、リスク対応を自社の競争力に組み替える経営戦略が問われるだろう。官民のルール形成に強みを持つ「オウルズコンサルティンググループ」が、米国市場の規制制度と特異性を読み解きながら「儲かる」対米投資のあり方を分析する。

 

関税率15%と引き換えの対米5500億ドル投資

 いわゆる「トランプ関税」の引き下げを求めた日米交渉は、米国が相互関税と自動車関税をともに15%に引き下げることで2025年7月に合意に至った。15%という関税率は日本企業にとっては厳しい水準だが、欧州連合(EU)や韓国と同率で、米国と合意に至った対米貿易黒字国の中で最低水準であり、これ以上を望むのは難しかっただろう。

 これと引き換えの形で、日本はドナルド・トランプ米大統領の任期に合わせ、2029年1月19日までに総額5500億ドルの対米投資を約束した。日米政府間の「戦略的投資に関する了解覚書」によれば、投資対象となる案件は、日米双方が参加する協議委員会(Consultation Committee)での協議を経て、米商務長官が議長を務める投資委員会(Investment Committee)の推薦に基づき、米大統領が選定する。日本は、これに投資しないとの選択をすることもできるが、その場合は米国が対日関税率を引き上げることができることになっている。

 投資対象分野は、半導体、医薬品、金属・重要鉱物、造船、パイプラインを含むエネルギー、AI(人工知能)・量子コンピューティングといった、経済・国家安全保障上重要な分野が例示されている。……

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