経済・ビジネス

ホルムズ「封鎖」で炙り出されるエネルギーの「弱い鎖」(1):迂回輸出に限界も/アジアには「需要破壊」の懸念

2026年3月27日


<span>ホルムズ「封鎖」で炙り出されるエネルギーの「弱い鎖」(1):迂回輸出に限界も/アジアには「需要破壊」の懸念</span>

イランが行ったオマーンの港湾への攻撃について、アラーグチー外相は「我々の選択ではない」として、軍事組織が「独立し、ある程度分離されている」と言及した。こうした軍部の自律性は、ホルムズ海峡を通過する船舶にとって管理しきれない不確実性だ。市場はすでに、「事実上の封鎖」の長期化を織り込み始めた。迂回ルートによる原油輸出や各国の備蓄放出で一定の対応は可能でも、エネルギーのグローバルサプライチェーンにはいくつもの「弱い鎖」が潜んでいる。すでにアジアのグローバルサウス諸国には、深刻なストレスが生じ始めている。

 米国・イスラエルとイランとの戦争が開始された2月28日からわずか数日間で、中東産油国からインド洋に通じるホルムズ海峡は初めて「事実上の封鎖」状態に陥った。国際エネルギー機関(IEA)によると、2025年には世界の海上石油輸送の約25%、液化天然ガス(LNG)輸送の約19%がホルムズ海峡を経由して輸送されている。世界の石油ガス供給の大動脈の寸断は、ブレント原油価格を戦争前の1バレル当たり60ドル台から、一時的に120ドル近くまで押し上げることとなった。

 原油の中東依存度が90%を超える日本にとって、ホルムズ海峡封鎖はエネルギー安全保障上の最も重大な危機になりうる。日本政府は今回の事態を受け、3月11日に原油高の激変緩和措置の実施とともに、過去最多となる45日分の石油備蓄1を放出する計画を明らかにした。

 本稿では、史上初のホルムズ海峡封鎖の原因とプロセスを示したうえで、被害を受ける中東産油国の迂回輸出ルートによる対策の可能性を分析する。そのうえで最後に、ホルムズ海峡封鎖が日本を含むアジアの主要消費国にいかなる影響をもたらすかについて考察する。

1. 「事実上の封鎖」はどのように実現したか:軍事組織の「自律」で高まる不確実性

 エネルギー専門家の多くはこれまで、イランによるホルムズ海峡封鎖の潜在的な脅威を認識しつつも、実際に封鎖が生じるとは想定していなかった。さらに、封鎖はこれまで考えられてきたシナリオとは異なる「事実上の封鎖」として実現した。……

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